単なる設備導入ではなく「売上アップへのコミットメント」が必要です

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上の取組に活用しやすく、多くの小規模事業者に利用されてきた補助金です。

しかし、第20回公募からは、第18回までのルールと比べて、経費の上限、相見積、賃上げ要件、再申請の制限などが見直され、全体として制度が厳格化されています。

特に大きな変化は、補助金を使って何かを購入するだけでは足りず、補助事業を通じて、

  • 売上高を増やす
  • 売上総利益を増やす
  • 経営改善の成果を数字で示す

ことが、これまで以上に強く求められるようになった点です。

これから申請を検討している事業者は、過去の申請経験だけを頼りに準備を進めるのではなく、第20回の新しいルールを踏まえて計画を作る必要があります。

第20回の変更点一覧

主な変更点は、次のとおりです。

  1. ウェブサイト関連費の上限が30万円に引き下げ
  2. 広報費にも30万円の上限を新設
  3. 売上高または売上総利益の増加見込みが必須に
  4. 賃上げの判断基準が給与支給総額に変更
  5. 相見積が必要となる金額が50万円超に引き下げ
  6. 採択後の再申請制限が強化
  7. 賃上げ未達の場合のペナルティを追加

それぞれ詳しく確認します。

1.ウェブサイト関連費の上限が30万円に引き下げ

第20回で最も影響が大きい変更の一つが、ウェブサイト関連費の上限です。

第18回まで

ウェブサイト関連費は、次のいずれか低い金額が上限でした。

  • 補助金申請額の4分の1
  • 最大50万円

第20回から

ウェブサイト関連費の上限は、**一律30万円(税込)**に引き下げられました。

これにより、ホームページの新規制作やリニューアル、ECサイトの構築などに多額の費用をかける計画は、以前より組みにくくなっています。

例えば、ホームページ制作費として60万円を予定していても、ウェブサイト関連費として補助対象にできる金額には上限があります。

ホームページ制作を中心とした計画を考えている事業者は、事業全体の経費配分を見直す必要があります。

2.広報費にも30万円の上限が新設

第20回からは、ウェブサイト関連費だけでなく、広報費にも一律30万円(税込)の上限が設けられました。

広報費には、一般的に次のような費用が含まれます。

  • チラシ
  • パンフレット
  • ポスター
  • 看板
  • 新聞折込
  • DM
  • 広告掲載
  • 販促物の作成

これまでは、チラシの大量印刷や広告出稿を中心に計画を立てるケースもありましたが、第20回からは広報費だけに大きく予算を振ることが難しくなります。

なお、ウェブサイト関連費と広報費は、いずれもその経費だけで申請することはできません。

機械装置等費、新商品開発費、店舗改装費など、ほかの補助対象経費と組み合わせた事業計画が必要です。

3.売上高または売上総利益の増加が必須に

第20回では、補助事業終了時と比較して、事業効果報告を行う時点で、

  • 売上高
  • 売上総利益

のいずれかが増加する見込みである事業計画が求められます。

これは、単に設備を導入した、ホームページを作った、チラシを配ったというだけでは足りないことを意味します。

補助金を使った結果として、

  • どのような顧客を獲得するのか
  • 客数は何人増えるのか
  • 客単価はいくら上がるのか
  • 新商品を何件販売するのか
  • どの程度売上が増えるのか
  • どの程度利益が改善するのか

まで考える必要があります。

「売上が上がると思います」だけでは不十分

申請書には、売上や利益が増えると考える根拠も必要です。

例えば、次のような情報です。

  • 商圏人口
  • 市場規模
  • 既存顧客数
  • 問い合わせ件数
  • 過去の販売実績
  • 競合他社の状況
  • 見込み客へのヒアリング結果
  • 予約数
  • 値上げの予定
  • 導入後の生産可能数
  • 広告からの想定反響率

感覚的な見込みではなく、客観的なデータや具体的な数字に基づいて事業計画を作らなければなりません。

4.単なる設備導入では採択されにくくなる

第20回では、設備そのものではなく、設備を使ってどのように売上を増やすのかが重要になります。

例えば、新しい機械を導入する場合でも、

作業時間が短縮されるため便利になる

という説明だけでは、販路開拓の効果が十分に伝わりません。

次のような説明まで必要です。

新しい機械を導入することで、1日当たりの生産数を20個から35個に増やす。
生産余力を活用して、新たに法人向け販売を開始する。
月間販売数を300個増加させ、年間売上を○万円増加させる。

設備導入は手段であり、最終的な目的は売上や利益の向上です。

第20回からは、事業者自身がその成果に対して、これまで以上に明確にコミットする必要があります。

5.賃金引上げの基準が変更

第18回までの賃金引上げ特例では、事業場内最低賃金を一定額引き上げることが主な基準でした。

第20回からは、基準が従業員1人当たりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加させることに変更されました。

給与支給総額には、基本給だけでなく、一般的に次のようなものも含まれます。

  • 賞与
  • 残業代
  • 各種手当

そのため、単純に時給や基本給だけを比較すればよいわけではありません。

対象となる従業員、比較する期間、給与支給総額の算定方法を事前に確認しておく必要があります。

賃上げ特例を利用する場合は、申請時点だけでなく、補助事業終了後まで見据えた人件費計画が必要です。

6.相見積が必要となる金額が50万円超に

第18回までは、1件当たり100万円(税込)を超える発注について、原則として2者以上の相見積が必要でした。

第20回からは、この基準が50万円(税込)超に引き下げられました。

そのため、比較的中規模の機械装置や設備工事でも、相見積が必要になる可能性があります。

注意したい経費

  • 機械装置
  • 店舗改装
  • 看板工事
  • システム開発
  • 業務用設備
  • 高額な広告制作
  • 外注費

申請時には1社の見積書しか用意していなかったため、採択後に相見積の取得で苦労することも考えられます。

発注先が決まっている場合でも、例外として認められる事情があるかを確認し、必要な理由書や資料を早めに準備することが重要です。

7.採択後の再申請制限が強化

第20回で採択された場合、次回以降の申請までに、以前より長い待機期間が設けられます。

実績報告を行って終わりではなく、その後の状況報告である様式14を提出してから、さらに1年間が経過しなければ、次の申請ができない取扱いとなっています。

つまり、

毎年、持続化補助金を利用する

という使い方は、今後さらに難しくなります。

補助金を利用する際は、今回の投資で何を実現するのかを明確にし、一度の申請をより有効に使うことが求められます。

8.賃上げ未達の場合は18か月間の減点対象に

賃上げ特例を利用して採択されたにもかかわらず、定められた賃上げ目標を達成できなかった場合には、その後18か月間、中小企業庁が所管する補助金の申請で大幅な減点を受ける可能性があります。

これは、持続化補助金だけの問題ではありません。

将来的に、ほかの中小企業向け補助金を申請する可能性がある事業者にも影響します。

賃上げ特例を利用すると補助上限額などで有利になる場合がありますが、実現可能性を十分に検討せずに選択するのは危険です。

事業終了後も継続して支払える人件費かどうかを、慎重に確認する必要があります。

第20回のスケジュール

第20回の主な日程は、次のとおりです。

  • 申請締切:2026年12月15日17時
  • 補助事業実施期限:2028年3月31日

第18回の申請締切は2025年11月28日でした。

申請期限まで時間があるように見えても、実際には次の準備が必要です。

  • 自社の経営分析
  • 市場分析
  • 事業計画の作成
  • 売上予測
  • 見積書の取得
  • 相見積の取得
  • 商工会・商工会議所への相談
  • 必要書類の準備
  • 電子申請の確認

特に、相見積や事業支援計画書の発行には時間がかかることがあります。

締切直前ではなく、早い段階から準備を始めることが重要です。

第20回で採択を目指すためのポイント

第20回では、次の4点がこれまで以上に重要になります。

1.設備ではなく成果から考える

「何を買いたいか」から考えるのではなく、

どのように売上や利益を増やしたいか

から事業計画を作ります。

2.数字で説明する

客数、客単価、販売数、生産数、問い合わせ数など、具体的な数字を使って計画を立てます。

3.経費の上限を早めに確認する

ウェブサイト関連費や広報費には30万円の上限があります。

希望する経費が、どの経費区分に該当するかも事前に確認しましょう。

4.採択後まで考える

採択されることがゴールではありません。

  • 発注
  • 支払
  • 実績報告
  • 事業効果報告
  • 賃上げ
  • 再申請制限

までを含めて、無理なく実行できる計画にする必要があります。

まとめ

小規模事業者持続化補助金は、これまで以上に成果が重視される制度へ変わりつつあります。

特に第20回では、

  • ウェブサイト関連費と広報費の上限
  • 売上高または売上総利益の増加
  • 賃上げ要件
  • 相見積
  • 再申請制限
  • 未達時のペナルティ

など、事業者が注意すべき点が増えています。

補助金は、単に設備やホームページを安く購入するための「もらえるお金」ではありません。

自社の投資を加速させ、実際に売上や利益を伸ばすための公的資金です。

第20回からは、よりシビアに経営改善の成果が問われるようになります。

採択を目指すためには、早めに準備を始め、客観的な数字に基づいて、実現可能性の高い事業計画を作ることが重要です。

ワイズリンクス行政書士事務所では、小規模事業者持続化補助金の申請に向けた事業計画の整理、申請書類の作成、採択後の実績報告までサポートしております。

補助金の活用を検討しているものの、

  • 自社の取組が対象になるか分からない
  • 売上増加の根拠をどのように書けばよいか分からない
  • ウェブサイトや設備にどこまで補助金を使えるか知りたい
  • 第20回の新しいルールに対応できるか不安

という事業者様は、お気軽にご相談ください。

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